歩き始めまでは『股関節脱臼』に注意! 予防と早期発見が重要
2017年12月1日
『先天性股関節脱臼』という病気を知っている方は多いのではないでしょうか。
実はこの病気、生まれたあとのお世話による後天的要素が強いということをご存知ですか?
今回、成田の子育て支援センターでママたちの相談対応をされている助産師の佐藤美奈子先生に話を伺い、原因〜赤ちゃんの股関節を脱臼させないための注意点をご紹介します。
『先天性』に惑わされないで! 『先天性股関節脱臼』とは?
先天性なのに後天的・・・? なんだかおかしな話ですよね。
その発生は1000人に1〜3人程度とまれな病気ですが、歩行開始後に股関節脱臼と診断されると、治療に難渋する例もみられます。
この病気を診断された赤ちゃんのほとんどは、お腹のなかにいるときから脱臼していたわけではありません。
お腹のなかから脱臼準備状態のまま生まれた赤ちゃんに、なんらかの原因が加わることで発症する病気です。
生まれた直後から3〜4ヶ月頃までに、足を引っ張られたり骨を伸ばされたりといった理由で脱臼することが大半なんです。
例えば、オムツ替えのときに脚だけを持ち上げたりしてはいけない、ということを知っている方も多いのではないかと思います。
言い換えれば、股関節脱臼は予防できる疾患ということなんですね。
原因:重ね着やおくるみ・・・秋冬は動きが制限されやすい!
脱臼させてしまうおそれがあるケースとして、佐藤助産師からこんな例が。
「おむつにゆとりがなく、きつすぎる赤ちゃんがいるんです。きつすぎるということは、足を自由に動かせなくなるということ。不自然なんですね。」
赤ちゃんの脚は、常に自然なM字開脚(カエルのような格好)であることが望ましい形。
しかし、きついおむつで股関節を押さえつけるようにしてしまうと、足が自由に動かせません。
おむつは指1本分くらいが入るような余裕を
寒い季節に注意すべきこととして佐藤助産師はこう言います。
「暖かいからと、足まですっぽり入るロンパースを着ている赤ちゃんを見ます。しかし、足の動きを制限してしまうものが多いのも事実です。ほかにも、足をまっすぐにしたままおくるみに包む、就寝時に毛布をかけ過ぎて足をバタバタできなくなるということも。下半身は自由にさせてあげて」
厚着やおくるみによって足の動きが制限される秋冬は、とくに注意が必要ということなんですね。
3ヶ月を過ぎたら、大人より1枚少なくしましょう。
足が常に自然なM字になる洋服を選んで
予防:親のチェックが股関節脱臼の見逃しを防ぐ!
「3〜4ヶ月検診で見てもらったけど、何も言われなかったから大丈夫(^-^)」
ちょっと待ってください! 小児科医の股関節脱臼の見逃しということもあり、歩き始めるまでは注意が必要です。
赤ちゃんから1歳半検診まで何も言われず、2歳を過ぎて歩き始めた時にやっと違和感に気づいたというママもいます。
恐ろしいことに、赤ちゃんや乳幼児は脱臼していても、痛みや違和感といった自覚症状がありません。脱臼した脚も動かすことができるので、長い間気がつかないことも・・・(llll゚Д゚)
この病気は早期発見がカギ。
成長すれば骨は硬くなってくるので、時間が経てば経つほど治療も大変になります。
佐藤助産師は親のチェックの大切さを語ります。
「脱臼したまま気がつかないでいると、不自然な歩行が股関節に負担となり、大人になってから『変形性股関節症』という一生涯の病気に繋がることにも。そうならないために、足の開きが自然なM字になっているか、親が子どもの状態を真正面(正対)から見ることが大切です。」
「左右対称かどうかは、脱臼だけでなくほかの病気の発見にもつながります」(佐藤助産師)
そして「何かおかしい」と思ったら整形外科に診断してもらうのが一番ベスト・・・ですが、少し敷居が高く感じますよね。
そんなときは成田市保健福祉館へ。常時、保健師の方がいて相談にのってくれます。
電話で事前に伝えると時間を設けてくださるそうですので、お気軽に連絡してみてください。
予防する、そして観察する。
ぜひ今日から心がけてみてくださいね!
保健福祉館 健康増進課:0476-27-1111
取材協力:国際医療福祉大学 講師/NPO法人親育ちネットワーク ビジー・ビー理事 佐藤美奈子氏
by:キャミ